奥鬼怒岩魚保存会との出会い!

青柳最高顧問は「岩魚が呼んだ」と言っているがまさにその通り。
今は立て替えられて立派になってしまったが、昔の山小屋風の加仁湯は本当に魅力的だった。玄関を入ると目の前に囲炉裏が切ってあって、夏でも火が燃えている。必ず親父が陣取っていて岩魚釣りのこと、川俣の古き良き時代の思い出等、話は尽きなかった。露天風呂は今の一番奥の女性専用風呂が混浴で解放されていた。満天の星空を眺めながら温泉につかっていると何もかも忘れて、世俗の垢が洗い流されていくようだった。岩魚釣りも、のんびりと出発。それでいて何匹かは必ず釣ってくる。これが、本当の贅沢な釣りの楽しみだと思う。岩魚保存会は岩魚を釣ることよりも、その仲間との交流の楽しさを教えてくれた。

奥鬼怒に生息する岩魚も、以前より増えたようだ。初めの頃は釣り教室を開いても、大部分の人が岩魚の顔も見ないということが続いたが、最近では大体の人が何匹かは釣り上げているようだ。これも、岩魚が養殖できるようになり、漁協による放流も盛んに行われるようになったためだと思う。ただ、岩魚の養殖が簡単にでき養殖岩魚の放流が盛んに行われるようになって、我々の、やっている本流で釣った岩魚を小沢や源流部への再放流という活動も難しくなった。天然の岩魚だけだった時は、釣った岩魚を迷わずに上流や沢に放していたのだが、どこに養殖魚がいるのかわからなくなってきた現在では、かえって生態系を乱してしまうという可能性が出てきた。最近は岩魚のDNAということも言われるようになって、水系ごとの違いはもちろん、同じ水系でも支流ごとに異なるから再放流も慎重にと言うことらしい。昔はどこの川にも職漁師がいて岩魚を増やすことは自分たちの手でしていた。それぞれの支流にも再放流して増やしてきたのだから、支流ごとの遺伝子にまで言及する意味があるのか疑問に思うが、再放流する川と、そうでない川をはっきりと区分けをして、天然魚のいる源流部は何もしないということがニッコウ岩魚を保護するには最良の方法ではないだろうか。そのためにも日光沢堰堤より上流の禁漁区を大事に見守っていきたい。
岩魚保存会のもう一つの活動のゴミ拾い。マナーも良くなったのか、一時の釣りブームが去って、釣り人が減ったためかわからないが、河川の清掃をしていても以前よりゴミはかなり減ってきていると思える。ただ、工事関係者が放置したと思われる、青いビニールシートが散乱しているのはいただけない。本当に見苦しい光景だ。工事関係者にも注意を促さなければならないだろう。我々の会員は、タバコを吸う人も携帯灰皿を持参して吸い殻も自分で始末している。愛煙家はせめてそのくらいの心遣いがほしいものだ。
岩魚に関わり合って「岩魚馬鹿」と言われ、もうすぐ35年が過ぎようとしている。岩魚は釣ることだけが楽しみではない。我々は職漁師ではないのだから「釣ってなんぼ」より、自然と融和しいつまでも美しいままに守っていく。そしてかけがえのない友と一緒に岩魚の保護に尽くしたい。

顧問 赤松 茂